勝ち組、負け組。

テレビなどでも良く「人生の勝ち組」「負け組」と、年収や地位の差で人を評価する風潮がある。この言葉は、小泉政権の頃から言われ出したと思う。

小泉政権を評価する際、良い点と悪い点、それぞれ異論があり、評価は二つに分かれるのであろう。ちなみに私は後者である。

良い点と言えば、お題目で唱えた郵政民営化構造改革、といった点だろうか。官から民へ、と言う流れを作った点は確かに評価すべきであろう。また靖国参拝を公的に行った点は、韓国や中国をいたずらに刺激したと言われるが、その前から韓国や中国もやりたい放題に近い事が多々あり、きちんと物事を言える国、首相としての姿勢は正しいと思う。

このような良い面を考慮しても、今も続く日本の負の側面を造ってしまったのが小泉政権であり、彼の責任は甚だ重いと考える。

まず派遣社員の期限をほぼ失くし、企業側の都合の良い、ディスポ社員(いわゆる使い捨て)を大量に生み出してしまったこと。しかもその年代は団塊ジュニアの世代ともかぶり、この政策が少子化の流れを決定的にしたと思っている。

竹中氏を経済政策担当大臣にしたお蔭で、ホリエモン村上ファンドなどの跳梁跋扈を許し「金を儲けて何が悪い!」と、堂々とマスコミに喧伝させるなど、ここらあたりから勝ち組・負け組なんて呼び方が出てきた。

f:id:danjoego:20161105101319j:plain

今の30代~40代の人で、社会生活のほとんどを派遣社員として過ごしてきた方が、どれほどの数いる事か。そしてその大多数が結婚していない。出来なかったという方が正解か。昭和50年~60年代あたりまでは、バブル騒動もあったものの、何とか努力して頑張れば、人並みの生活が手に入り、贅沢ではなくとも幸せな家庭を築けていたように思う。しかし、派遣しか仕事が無い人にとって、将来への安心感は得られず、その日暮らしをせざるを得ない。正に希望が持てないのである。

うまく立ち回った者が裕福さを手に入れ、こつこつと真面目に、でも派遣しか仕事を見つけられなかった者は、貧困のスパイラルに陥っていく。これが正しい社会と言えるのだろうか。まだまだ日本人は勤勉でまじめに努力する性質が残っていると思うが、これ以上、貧富の差が開くと、社会が壊れていくのではないかと考えさせられる。

 

次に小泉政権の最大の汚点は、ブッシュ大統領とその気になって、イラク戦争を引き起こしたことであろう。アメリカの言うことを聞かないフセイン大統領を追放するために、有もしない化学兵器などの言いがかりを付け、侵攻に踏み切り、結果イラクがバラバラになり、アルカイダやISを発生させ、119のテロなどを引き起こすことになった。

f:id:danjoego:20161105101349j:plain

どのような悪行を働いていたにせよ、フセイン大統領なりの国政のお蔭で、イラクはかろうじてまとまっていたのであり、その蓋を排除したせいでパンドラの箱を開けてしまったと言える。(おとぎ話同様、箱の底に「希望」が残っていればよいが...)

これは今の北朝鮮にも言える事であろう。金正恩を排除なんて簡単に言葉にするが、そこで大量難民が発生したら対処できるか?。かなりの数の難民が、海を渡り日本を目指して来たときどうするのか。

 

長々と書いてきたが、我々の世代が今後、何を次の世代に残していけるのか。そして子供たちが明るい未来を目指せるような、希望の持てる国を残してやれるのか。今一度、立ち止まって考えてみたいと思う。